学習テキスト 2 訴訟の主体 ○ 裁判所の種類を挙げることができ、民事訴訟に関するそれぞれの役割について条文を参照して説明することができる。 国法上の裁判所(官署としての裁判所)と訴訟法上の裁判所(裁判機関としての裁判所)の概念の違いを理解している。 (一)裁判所の意義 (二)裁判所の構成 ※裁判所は、司法権が帰属する国家機関である(憲法76条)。 ※裁判所は、民事訴訟法との関係では、民事訴訟事件について裁判権を行使する国家機関である。 ・「裁判所」の語はさまざまな意味で使われるが、主要なものは次の2つとされている。 @裁判官その他の裁判所職員が配置された官署としての裁判所 A事件の審理・裁判を行う一人または数人の裁判官によって構成される裁判機関としての裁判所 裁判機関としての裁判所の構成 1 単独制の裁判所 一人の裁判官から構成されている裁判機関
複数の裁判官から構成されている裁判機関 裁判長 ○ 受命裁判官及び受託裁判官の概念及びその主要な職務を理解している。 受命裁判官 しかし、現実には裁判官も多忙であり、処理すべき事項によっては、一部の裁判官に行わせて効率を高める必要が生ずる。裁判所外での証拠調べがその代表例である。 そこで、裁判事務の一部について、合議体を構成する裁判官に職務を執行させることが認められている。その裁判官を受命裁判官という。 ・受命裁判官に職務を行わせるか否かは重要なことであるので、合議体で決定する。 ・受命裁判官に処理させることができる事項は、 法及び規則で規定されている。その詳細ぶりから、受命裁判官にさせることができる事項が制限的に規定されていることがよくわかる: 審尋 和解等
争点整理 証拠調べ
受託裁判官 ※嘱託を受けた裁判所は、所属裁判官の中の適当な者に嘱託された事項を行わせる。 ※どの裁判所に嘱託することができるかは、法律で規定されている場合がある。 証拠調べについては、他の地方裁判所若しくは簡易裁判所に嘱託する。 ・証拠調べは、受命裁判官にも受託裁判官にもさせることができる。しかし、事柄の性質により、受命裁判官にさせることはできるが受託裁判官にさせることはできない事項もある。 ○ 裁判所書記官の主要な役割を理解している。 ※裁判所書記官は、このほかに、(γ)裁判所の事件に関し、裁判官の命を受けて、裁判官の行なう法令及び判例の調査その他必要な事項の調査を補助する(裁判所法60条3項)。 当事者との折衝 ※実務では、裁判所書記官は当事者との関係で裁判所の対外的窓口の機能を果たすと位置付けられている(例えば[最高裁*1997b]62頁)。 ・次の事項は裁判所または裁判長の職務であるが、裁判長の命を受けて書記官が当事者と折衝することが認められている ・訴状の補正の促し(規則56条) ・裁判所書記官は、その職務を行うについては、裁判官の命令に従う(裁判所法60条4項)。
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